【4派閥で迷わない】FX自動売買プログラム自作の作り方とサンプルコード

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FX自動売買プログラムを自作したいと思って調べ始めると、MQL5でEAを書く解説、Pythonで自前のボットを組む解説、ノーコードビルダーを使う解説、生成AIにコードを書かせる解説と、選択肢があまりに多くて手が止まる方は多いのではないでしょうか。本記事では、自作の進め方を「制作スタイルの4派閥」として横並びで整理し、自分がどの道を選ぶべきかを判断できる形でまとめます。最小サンプルコード・国内主要FX会社のAPI対応・税金・典型的な失敗パターンも併せて確認します。FX口座開設前の立場で複数の自作アプローチを調べた結果を整理した内容です。

目次

FX自動売買プログラム自作で得られるもの・失うもの

自作の話に入る前に、自作で何が手に入り、何を支払う必要があるのかを整理します。配布されているEAやコピートレードと自作の最大の違いは、「中身が見える」ことです。中身が見えることのメリットと、その対価としての学習コストの両方を理解しておくと、途中で迷わずに進めます。

自作で得られる3つのもの

自作には、配布EAやコピートレードでは得にくい3つの価値があります。

  • ロジックの完全把握:どんなシグナルでエントリーし、どんな条件で決済するかをコード単位で理解できる
  • 検証・改善の自由度:パラメータも、エントリーの考え方そのものも自由に書き換えられる
  • 学習資産としてのプログラミングスキル:FXの結果に関わらず、書いたコードや得た知識は他の領域でも使える

特に1つ目の「ロジックの完全把握」は重要な観点です。配布EAは過去成績だけが提示され、実際の判断ロジックがブラックボックス化していることが珍しくありません。自作なら、判断条件を一行ずつ自分で書くため、想定通りに動かなかった理由を追跡できます。

自作で失うもの・覚悟すべきこと

一方、自作には対価もあります。これらを軽視すると、途中で挫折する確率が上がります。

  • 学習時間:簡単な移動平均クロスEAなら数日〜数週間、機械学習を使う本格的なものなら数ヶ月単位の学習が必要
  • 過剰最適化(カーブフィッティング)の罠:過去データに合わせすぎて本番で機能しないコードを書いてしまうリスク
  • 運用環境の固定費:24時間動かす場合のVPS(仮想専用サーバー、24時間稼働させるためのレンタルサーバー)代や電気代
  • 感情との向き合い:自動化しても、損失が続けば自分でロジックを止める判断は必要になる

「自作したら勝てる」という前提は捨てておくのが安全です。自作の本当の価値は、勝つことではなく「中身を理解した上で改善し続けられる」点にあります。

既製EAや配布ツールとの境界線

自作と並べて検討される選択肢には、市販EA・コピートレード・無料配布EAなどがあります。これらと自作の最大の違いは、すでに触れたとおりロジックが見えるかどうかです。

選択肢ロジックの可視性必要スキル主な弱点
市販EA・配布EAブラックボックスが多い不要中身を改善できない
コピートレード不可視不要提供者に依存する
自作プログラム完全に可視必要(ノーコードでも一定の理解は要る)学習時間がかかる

「学習に時間をかけてでも、判断ロジックを完全に把握したい」と考える方にとって、自作は合理的な選択肢になります。逆に「学習時間をほぼかけずに自動売買を始めたい」という方は、自作よりもまず信頼できる配布EAやコピートレードの仕組みを比較する方が現実的でしょう。

FX自動売買プログラム自作の4派閥【横並び比較】

「自作」と一括りに語られますが、実際には制作スタイルが大きく4つに分かれます。本記事ではこれを「4派閥」として整理します。読み進めるうちに、自分がどの派閥に近いかが見えてくるはずです。

4派閥は「MQL派/Python派/ノーコード派/生成AI支援派」の4つ。難易度・自由度・費用・向く人がそれぞれ異なります。

4派閥の比較表

先に全体像を一覧で把握しておきます。

派閥難易度自由度費用感向く人
MQL派MT4/MT5は無料、MetaEditor同梱MT4/MT5文化圏に馴染みがある/C系言語に近い文法に抵抗がない
Python派中〜高非常に高いPython本体は無料、VPS等の運用コストが追加データ分析・機械学習に強みを伸ばしたい
ノーコード派低〜中ツール購入費(年額/月額)が必要プログラミング未経験/最短で動く形が欲しい
生成AI支援派低〜中中〜高生成AIの利用料(無料〜月額)プログラミング初級〜中級/コードを読めるが書くのは苦手

この表だけでは判断しきれないため、各派閥の中身を順に確認していきます。

派閥A:MQL派(MetaEditorでEAを書く)

MQL派は、MetaTrader 4/5に同梱されている開発環境「MetaEditor」で、MQL4またはMQL5という専用言語を使ってEA(Expert Advisor、自動売買プログラム)を書くスタイルです。FX自動売買の世界で最も歴史が長く、サンプル・解説・コミュニティが充実しています。

MQL4とMQL5は名前は似ていますが、ソースコードに互換性がない別言語です。MQL4は手続き型寄りで初心者にも取っつきやすく、MQL5はC++に近いオブジェクト指向対応の言語で、ポジション・オーダー・ディールという3つの概念を厳密に区別します。

MQL派の強みと弱み

強み:MetaTraderの世界に直結する/サンプルEAが大量に存在する/バックテスト機能が標準搭載されている/取引できるブローカーが多い。

弱み:言語自体は他で使い回しにくい/機械学習ライブラリと組み合わせるには別途ブリッジが必要/ロギングや外部API連携の自由度はPythonに劣る。

派閥B:Python派(MT5パッケージ/OANDA REST/GMOコイン外国為替FX API)

Python派は、Pythonでブローカーや取引所のAPI(Application Programming Interface、外部からプログラムで操作するためのインターフェース)を叩いて、価格取得・発注・バックテストを自前で組むスタイルです。データ分析・機械学習との親和性が圧倒的に高い点が最大の強みです。

Python派の主な接続先は3つあります。

  • MetaTrader5パッケージ:PythonからMT5を直接操作する公式パッケージ。Windowsのみ動作。
  • OANDA Japan REST API:個人向けにREST API(HTTP経由でリクエストを送る形式のAPI)を公開。利用にはプロコース契約・ゴールド会員ステータス・口座残高25万円以上などの条件があり、要件を満たせば新規でも利用可能(2026年5月時点、OANDA証券公式情報)。
  • GMOコイン外国為替FX API:2023年10月28日提供開始。Python・Node.js・Go等のサンプルコードが公式に整備されており、API経由の自動売買に対応。30日間の無料トライアルあり(2026年5月時点)。
Python派の強みと弱み

強み:データ分析・機械学習ライブラリが豊富/OS制約が少ない(OANDA RESTやGMOコインAPIならMacやLinuxでも可)/コードの再利用性が高い。

弱み:MT4/MT5標準のような統合バックテスト環境がない(自前で組むかライブラリを使う)/VPS等の稼働環境を別途用意する必要がある/APIキー管理など運用面の自己責任が増える。

派閥C:ノーコード派(EAつくーる/ストラテジービルダー)

ノーコード派は、プログラミング言語を書かずに、画面上の操作でEAを生成するツールを使うスタイルです。代表格は株式会社ゴゴジャンが提供する「EAつくーる」と、MT5標準の「ストラテジービルダー」です。

EAつくーるは、1年版29,800円(税込)または1ヶ月版2,980円(税込・自動継続)のサブスクリプション型ツールで、MT4・MT5の双方に対応しています(2026年5月時点、ゴゴジャン公式情報)。エントリー条件・決済条件をフォーム入力で組み立てると、対応するMQLコードが自動生成されます。

ノーコード派の強みと弱み

強み:プログラミング知識ゼロでもEAを作れる/作成スピードが圧倒的に速い/MT4/MT5のバックテスト機能と組み合わせやすい。

弱み:ツールが用意した部品の範囲でしか作れない/複雑なロジック(機械学習・統計的アービ等)は組めない/ツールの仕様変更や提供停止に依存する。

派閥D:生成AI支援派(ChatGPT/Claude/Geminiにコードを書かせる)

生成AI支援派は、ChatGPT・Claude・Geminiなどの大規模言語モデルにロジックを伝えて、MQL5またはPythonのコードを書かせるスタイルです。本格的なプログラミングをしたことがない読者にとっては、自作の最も現実的な入口になり得ます。

ただし「生成AIにすべて任せられる」という発想は危険です。生成されたコードはバグを含むことがあり、最終的にはコードを読み解く力が必要になります。雛形を作るのは生成AI、品質保証は自分、という分担で考えるのが現実的です。

生成AI支援派の強みと弱み

強み:プログラミング初級でも雛形コードを得られる/ロジックを自然言語で説明するだけで叩き台が作れる/学習素材としても優秀。

弱み:生成コードのバグ検出責任は自分にある/本番運用するならコードを読み解く力が結局必要/APIキーをそのまま生成AIに渡すと漏洩リスクがある。

自分はどの派閥を選ぶべきか【判断フローチャート】

4派閥の特徴を見てもなお迷う場合、3つの判断軸を順番に当てはめていくと、自分が選ぶべき派閥が見えてきます。完璧な答えではなく「最初の一歩として現実的な選択肢」を絞るためのフローです。

判断軸1:プログラミング経験の有無

最も大きな分かれ道は、プログラミング経験があるかどうかです。

  • 経験なし/ほぼゼロ:ノーコード派または生成AI支援派から始めるのが現実的
  • 経験あり:MQL派またはPython派が選択肢になる

判断軸2:投入できる学習時間

2つ目の判断軸は、自作にかけられる時間の量です。

  • 週数時間以下:ノーコード派/生成AI支援派
  • 週10時間前後:MQL派(MetaEditorのサンプルから入る)
  • 週20時間以上:Python派(環境構築・バックテスト・運用までを自前で組み上げる)

判断軸3:目的(収益/検証/学習)

3つ目は、自作の目的です。同じ「自作」でも、目的が違えば最短ルートも変わります。

  • 収益優先で短く始めたい:ノーコード派
  • 検証重視で機械学習も使いたい:Python派
  • MetaTraderの文化圏で育てたい:MQL派
  • とにかく雛形コードから入りたい:生成AI支援派

派閥は途中で乗り換えてよい

最初に選んだ派閥に縛られる必要はありません。「ノーコード派でEAの動きに慣れる→生成AI支援派でカスタマイズに挑戦→MQL派またはPython派に移行」という段階的な乗り換えは、現実的な道筋の一つです。最初の一歩を小さく踏み出せる派閥を選ぶことの方が、最初から完璧な選択をしようとするよりも前に進めます。

迷ったときは「3ヶ月で何を達成したいか」を一行で書き出してみると、自分が選ぶべき派閥が絞り込みやすくなります。

自作する戦略タイプの4分類

どの派閥を選ぶかと並行して考えるべきなのが、「どんな戦略をプログラムに落とすか」です。自作プログラムの中身は、大きく次の4タイプに分類できます。

トレンドフォロー型(移動平均クロス/ブレイクアウト)

移動平均線のゴールデンクロスでロング、デッドクロスで決済する形が代表例です。最も再現しやすく、入門には最適です。直近高値・安値のブレイクアウトを使う形もこのタイプに含まれます。

逆張り型(RSI/ボリンジャーバンド)

RSI(相対力指数)が一定値を超えたら売り、ボリンジャーバンドの下限に触れたら買い、といった「行き過ぎたら戻る」前提の戦略です。レンジ相場では機能しやすい一方、トレンド相場では損失が伸びやすい点が弱点です。

統計的アービトラージ型(ペアトレード)

相関のある2通貨ペアの価格差が、過去の平均から大きく乖離したときに「いずれ収束する」と仮定して両建てするアプローチです。共和分検定など統計的な素養が必要で、Python派と相性が良い領域です。

機械学習・AI活用型

特徴量(過去のリターン・ボラティリティ・テクニカル指標等)を入力に、上昇・下落の確率を分類モデルで予測する形が一例です。ディープラーニングを使った時系列予測や、チャート画像を入力する画像認識アプローチもこのカテゴリに含まれます。Python派の独壇場と言って差し支えありません。

どの戦略から始めるべきか

入門段階ではトレンドフォロー型一択でよいでしょう。ロジックがシンプルでバグが入りにくく、過去データでの挙動も直感的に追えるためです。逆張り型・統計的アービ型・機械学習型は、まずトレンドフォロー型で「自作プログラムが期待通りに動く感覚」を掴んでから挑戦する方が、挫折しにくい順序です。

最小サンプルコード(MQL5とPythonの両方)

「自分にも書けそうか」を判断するための材料として、MQL5とPythonそれぞれの最小サンプルコードを示します。実際にこのまま動かす前提というよりは、コードの分量感と構造を体感してもらうためのサンプルです。

MQL5:移動平均クロスEAの最小コード

MQL5では、価格の更新ごとに呼ばれるOnTick関数の中に、シグナル判定と発注のロジックを書きます。下記は短期と長期の移動平均線がクロスしたタイミングでロング/決済する最小例です。

// 短期と長期の移動平均クロスでロング・決済する最小EA(MQL5)
#include <Trade\Trade.mqh>
CTrade trade;

input int FastPeriod = 5;    // 短期MAの期間
input int SlowPeriod = 20;   // 長期MAの期間
input double Lots    = 0.10; // 取引ロット

void OnTick()
{
    // 直近2本の移動平均値を取得
    double fast0 = iMA(_Symbol, _Period, FastPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE);
    double slow0 = iMA(_Symbol, _Period, SlowPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE);
    double fast1 = iMA(_Symbol, _Period, FastPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE);
    double slow1 = iMA(_Symbol, _Period, SlowPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE);

    bool hasPosition = PositionSelect(_Symbol);

    // ゴールデンクロス: ノーポジならロングエントリー
    if(fast1 < slow1 && fast0 > slow0 && !hasPosition)
        trade.Buy(Lots, _Symbol);

    // デッドクロス: ロング保有中なら決済
    if(fast1 > slow1 && fast0 < slow0 && hasPosition)
        trade.PositionClose(_Symbol);
}

実際にはエラーハンドリング、損切り・利確の幅、スプレッドのチェックなどが追加で必要になります。雰囲気として「MQL5で1ファイル数十〜100行程度で最小EAが書ける」と捉えておけば十分です。

Python:MT5パッケージで価格を取得する最小コード

Python派の入口として、MetaTrader5パッケージで直近のローソク足を取得する最小サンプルです。価格取得→分析→シグナル算出→発注、という流れの最初の1ステップに相当します。

# Python + MetaTrader5パッケージで USD/JPY の直近5分足を取得する最小例
import MetaTrader5 as mt5
import pandas as pd

# MT5に接続(事前にMT5端末側でログインしておく)
if not mt5.initialize():
    raise RuntimeError("MT5への接続に失敗しました")

# 直近100本の5分足を取得
rates = mt5.copy_rates_from_pos("USDJPY", mt5.TIMEFRAME_M5, 0, 100)

# pandasのDataFrameに変換
df = pd.DataFrame(rates)
df["time"] = pd.to_datetime(df["time"], unit="s")
print(df[["time", "open", "high", "low", "close"]].tail())

mt5.shutdown()

数行のPythonでローソク足データが手に入る点が、Python派の魅力です。ここから移動平均の計算、シグナル算出、発注、バックテストへと拡張していくのが基本の流れになります。

実装前にバックテストする習慣を持つ

どの派閥でも、本番の口座にコードを繋ぐ前に、必ず過去データでのバックテスト(過去データに対する仮想売買シミュレーション)を行う習慣を持つことが重要です。MetaTraderには標準機能としてストラテジーテスターが組み込まれており、Pythonでも自前で書くかbacktrader等のライブラリを使うことでバックテストできます。

バックテストで利益が出たからといって、本番でも同じ結果が出るとは限りません。スプレッドやスリッページ(注文時の価格ズレ)を考慮しないと、現実とのギャップが大きく開きます。

知っておきたい注意点【2026年5月時点】

自作プログラムを動かす前に確認しておきたい現実情報を整理します。API公開状況・税金・運用環境の3点は、自作派が最初に当たる外部条件です。

国内主要FX会社のAPI対応状況

Python派が直接APIを叩く場合、国内FX会社のAPI公開状況が重要になります。主要な状況を整理します。

会社API公開備考(2026年5月時点、各社公式サイトより)
GMOコイン外国為替FXあり2023年10月28日提供開始。公式APIドキュメント公開、Python等のサンプルコードあり、30日間無料トライアル提供。
OANDA Japanあり(条件付き)個人向けREST APIを公開。利用にはプロコース・ゴールド会員ステータス・口座残高25万円以上などの条件あり(2026年5月時点)。
楽天証券MT4経由個人向けの直接API公開はなく、MT4のEA運用が中心。
その他主要国内FX会社非公開が多数独自の自動売買ツール(リピート系等)を提供する会社は多いが、API公開は限定的。

Python派でAPI連携を前提にするなら、新規でも比較的気軽に始められるのはGMOコイン外国為替FXです。OANDA証券のAPIもプロコース・ゴールド会員・口座残高25万円以上などの条件を満たせば新規利用可能で、両者を要件に応じて選ぶ形になります(2026年5月時点)。MetaTrader経由(MQL派・MT5パッケージ経由のPython派)であれば、対応ブローカーの選択肢はもう少し広がります。

税金:FXは申告分離課税・税率20.315%

国内FXの利益は、裁量取引・自動売買のいずれであっても、税法上は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象になります(国税庁タックスアンサー No.1521)。税率は所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%の合計20.315%で、利益額に関わらず一律です。

復興特別所得税は2013年から2037年までの時限措置です。給与所得とは合算されない申告分離課税のため、利益が大きいほど他の所得と合算するよりも有利になりやすいという性質があります。

なお、海外FX口座の利益は雑所得(総合課税)となり、税率の構造が異なります。本記事は国内FX会社で自作プログラムを使う前提で記述しています。

APIキー・シークレットの管理

APIキーの管理は、自作プログラムで最も事故が起きやすい領域の一つです。コードに直接書き込んでしまうと、GitHubに誤って公開した瞬間に資金が引き出されるリスクがあります。基本的な対策は以下のとおりです。

  • APIキー・シークレットは環境変数または.envファイル等に分離する
  • .envファイルは.gitignoreで除外し、リポジトリにコミットしない
  • 権限を最小化する(出金不可・取引のみ可など、APIで制限できる場合は活用)
  • 生成AIにコードを見せる場合は、APIキー部分を必ずダミーに置換する

24時間運用に向けた稼働環境

為替市場は平日24時間動き続けるため、自作プログラムを本番運用するなら稼働環境の安定性が問われます。自宅PCで動かす方法は学習段階では問題ありませんが、停電・通信断・OSの自動再起動などで停止するリスクがあります。本番運用ではVPSの利用が一般的です。

VPSは月額1,000〜3,000円台のプランから選べます。CPU・メモリ要件は重い機械学習モデルを動かさない限り低めで足りますが、ネットワークの安定性とサーバーの所在地(金融機関と物理的に近いか)の方が体感に効きやすい要素です。

法律・規制の基本

自分の口座で自作プログラムを使う行為は、原則として違法ではありません。FX会社の利用規約上で自動売買を許可している会社が多数あり、許可の範囲で運用すれば問題は生じにくいと言えます。

一方で、自作したEAを他人に販売・配布したり、シグナルを有償提供したりする場合は、金融商品取引業の登録が必要になる可能性があります。配布・販売を視野に入れる場合は、金融庁が公表している登録要件を必ず確認しておく必要があります。

自作で踏みやすい5つの典型的失敗パターン

最後に、自作派が最初の数ヶ月で踏みやすい失敗パターンを整理します。事前に知っておくと、踏んでも被害を最小化できます。

失敗1:過剰最適化(カーブフィッティング)

過去データに合わせてパラメータを調整しすぎ、過去では完璧だが本番では機能しないコードを作ってしまう典型例です。回避策としては、最適化に使う期間と検証に使う期間を分ける(ウォークフォワード分析)、パラメータの数を最小限に抑える、過去最大DD(最大下落幅)の小さい設定を選ぶ、といった工夫があります。

失敗2:ルックアヘッドバイアス

バックテスト時に、「未来の値」を誤って使ってしまうバグです。たとえば「今足の終値で判定し、今足の始値でエントリーする」と書くと、本来知り得ない情報を使っていることになります。シグナル判定は前足までの確定データで行い、エントリーは次足の始値で行う、という時系列の境界を明確にしておく必要があります。

失敗3:スプレッド・スリッページの無視

理想的な約定価格でバックテストを回すと、現実より大幅に良い成績が出ます。原則固定スプレッドのFX会社でも、経済指標発表時にはスプレッドが拡大することがあるため、バックテストには余裕を見たコスト設定(実際のスプレッドより少し広めの値)を入れておくのが安全です。

失敗4:APIキー・シークレットの漏洩

前述したとおり、コードへの直書きとGitHub公開は最大級の事故を生みます。仮想通貨取引所のAPIキー漏洩事故は実際に多数報告されており、FXのAPIでも同じ事故が起こり得ます。最初のコミットの前に必ず.gitignoreを整備しておくことが対策になります。

失敗5:止まる仕組みを作らないまま本番投入

想定外の動きをしたときに、自動的にロジックを止める仕組みを入れずに本番投入すると、深夜の急変動で口座残高が大きく削られる事態になり得ます。具体的には「日次損失が一定額を超えたら新規エントリーを停止」「ポジション数が想定を超えたら強制的にフラットにする」といったセーフティを最初から入れておくのが定石です。

「とりあえず動かしてから考える」は、自作プログラムでは推奨できません。止める仕組みを先に作っておくことが、自作派の最低ラインです。

よくある質問(Q&A)

FX自動売買プログラム自作に関連して、検索でよく見かける疑問への回答をまとめます。

FXの自動売買プログラムを自作するのは違法ですか?

自分の口座で自作プログラムを使う行為自体は、原則として違法ではありません。多くのFX会社が利用規約で自動売買を許可しています。一方、自作EAを他人に販売・配布したり、シグナルを有償提供したりする場合は、金融商品取引業の登録要件に抵触する可能性があるため、金融庁の公表情報を確認しておく必要があります。

FX自動売買プログラム自作は儲かりますか?

儲かる保証はありません。「自作したから勝てる」という前提は持たないのが安全です。市販EAやコピートレードと比べて自作の最大の価値は、ロジックの中身を完全に把握できることであり、勝率そのものではありません。バックテストで成績が良くても、本番では過剰最適化やスプレッド拡大などで結果が変わることが多くあります。

プログラミング未経験でも自作は可能ですか?

可能です。本記事の4派閥のうち、ノーコード派(EAつくーる等)と生成AI支援派(ChatGPT・Claude等にコードを書かせる)は、プログラミング未経験〜初級でも始められます。ただし、生成AIに任せきりにするのではなく、生成されたコードを少しずつでも読み解いていく姿勢があると、運用段階のトラブルに対応しやすくなります。

自作プログラムはいくらから始められますか?

学習・バックテスト段階であれば、必要なソフトウェア(MT4/MT5、Python、生成AI無料プラン)はほぼ無料です。本番運用段階では、最小取引単位が小さいFX会社を選べば数万円から始められます。ノーコード派のEAつくーる(1年版29,800円・税込/2026年5月時点)のようなツールコストや、24時間運用するためのVPSの月額1,000〜3,000円台が固定費として乗ってきます。

MQL5とPythonはどちらを選ぶべきですか?

使いたいアプローチで決めるのが現実的です。MetaTraderの世界に直結したい・サンプル豊富な環境で学びたい方はMQL5、データ分析や機械学習を組み合わせたい方はPython、という分け方が分かりやすいです。両方を学ぶ前提で、まずは取り組みやすい方から入る形でも問題ありません。

自作EAは公開・販売してよいですか?

自分で使う分には問題ありませんが、不特定多数への販売・配布や、シグナル配信サービスとしての提供は、金融商品取引業の登録要件に該当する可能性があります。金融庁が公表している登録要件を確認したうえで、無登録での営利提供にならないよう注意が必要です。販売を視野に入れる場合は、専門家への相談も検討した方が安全です。

まとめ:自分の派閥を決め、最小プログラムから動かす

FX自動売買プログラム自作のスタイルは、4派閥に整理できます。

  • MQL派:MetaEditorでEAを書く。MetaTrader文化圏に直結したい方向け。
  • Python派:MT5パッケージ・OANDA REST・GMOコイン外国為替FX APIで自前構築。データ分析・機械学習を組み合わせたい方向け。
  • ノーコード派:EAつくーる等のツールでフォーム入力からEAを生成。プログラミング未経験で最短で動く形が欲しい方向け。
  • 生成AI支援派:ChatGPT・Claude等に雛形コードを書かせる。プログラミング初級〜中級で雛形から入りたい方向け。

どの派閥から始めても、最終的に意識すべきことは共通しています。バックテストでの成績を過信しないこと、APIキーの管理を初期から徹底すること、止まる仕組みを先に作ること、そして勝つことよりも「中身を理解して改善し続けられる」状態を目標にすることです。

最初の一歩としては、移動平均クロスのEAをMQL5で動かす、もしくはPythonでMT5パッケージから価格を取得するところから始めるのが現実的です。完璧な選択を最初に決めようとするより、小さな一歩を踏み出して結果を見て修正していく方が、自作プログラムは着実に育ちます。本記事が、自分の派閥を決める判断材料の一つとなれば幸いです。

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